公開講演会「ウクライナ侵攻と市民たちの抵抗」
INFORMATION
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。講演者の藤原亮司氏は、翌月3月~4月にかけて約5週間、現地を取材した。そこで出会った市民たちは、それぞれが自らできる方法で、ソビエト連邦時代を経てようやく手に入れた「自由」を奪われたくないと、侵攻に抵抗する姿を見せていた。日本ではゼレンスキー政権による「国家総動員」や、戦争協力への「同調圧力」を懸念する専門家などの意見もあった。しかし、侵攻とともに復活した徴兵制は志願者が多いために機能せず、また軍に志願しない老若男女たちは自発的に避難所の開設と運営、支援物資の集積所、迷彩ネットや火炎瓶、車止めの製造などを行なっていた。驚いたのは彼らから「何もしない人」「避難していく人」たちへの批判めいた言葉をひと言も聞かなかったことだった。個人がそれぞれに選択したことを尊重し、自分ができることをする。ウクライナの人たちの「自由を失いたくない」という気持ちと、徹底した個人主義の浸透を感じた。現場に行かなければ、戦争取材の経験を彼らに当てはめ、押し付けるような印象を持ったかもしれない。本公演では、講演者が接した戦時下に暮らす人々の姿を報告する。
講師
ジャーナリスト、ジャパンプレス所属
藤原 亮司(ふじわら りょうじ) 氏
大阪府出身。1998年から継続してパレスチナ問題の取材を続けている。他に、シリア内戦、ウクライナ、レバノン、アフガニスタン、イラク、ヨルダン、トルコ、コソボなどにおいて紛争や民族問題、国内では在日コリアン、東日本大震災や原発被害の取材を行う。
紛争や抑圧の現場取材にもとづいた写真と記事写真と記事を雑誌、新聞、通信社に、映像を主に日本テレビにおいて発表。日本テレビ、TBS、フジテレビ、読売テレビ、九州朝日放送ラジオに出演し解説を行う。
著者に『ガザの空の下 それでも明日は来るし人は生きる』(2006年、dZERO)、共著に『戦争取材と自己責任』(2019年、dZERO)。